新幹線の北海道側の出入り口がある知内町。
この街の、おそらく北海道最古である雷公神社をご紹介させていただきます。
神社の歴史
知内町は山と海に囲まれた、津軽海峡が目の前に広がる小さな街です。
ふるくは1205年に鎌倉幕府の命により、砂金採取のため甲斐国伊原郡の領主、荒木大学が来道し、そこから砂金堀がはじまりました。
そして山開きのため、これに同行した山伏、大野了徳により建てられたのが雷公神社です。
雷公神社は、国道から少し中にはいった住宅地のなかにあります。
以前は大通りだったその道は人口の減少に伴い、いまでは人通りも少なくひっそりとしています。
表通りから鳥居をくぐると、杉の巨木が両側にそびえ、一気に「神域」に入った感をうけます。
巨木の枝に日差しを遮られ薄暗い参道を抜けるとお社が目に入ります。雷公神社です。
参道は車でも入ることができますが、田舎故どこでも駐車ができますので、是非社殿まで歩いてください。
杉の巨木は圧巻の一言です。
雷公神社は逓信の神である別雷神を祀っています。
別雷神とは賀茂別雷命のことで、縁結びや恋愛成就にご利益があります。
言い伝え
雷公神社にはさまざまなの伝承があり、古い歴史を感じられます。
伝承のひとつ雨石は、現在雷公神社の御神体の1つとなっています。
その名の通り雨を降らせる雨石。その効力は絶大です。
これは、雷公神社初代別当大野了徳院が死の際に「頃内川(現知内川)は大水の年ほど鮭が遡る、雨が降らない年は必ず雨を降らせるので私を川のほとりに埋めるように」と遺言して亡くなりました。
家族はその通り川のほとりに埋葬し塚石を安置し、目印の松を植えました。
この塚石が雨石となり、現在に伝えられています。
了徳院の死から幾年か過ぎて、雨がふらない年がやってきました。
村人は困り果て、これは神頼みしかないと、件の塚石を川に沈めたところ、俄かに雨が降り出し、川水が増水、無事鮭が川を上ったと言い伝えられています。
この雨石、ただの言い伝えかと思いきや、昭和60年にも雨を降らせています。
昭和60年のその年は雨が少なく、川水は減少。
河口付近で跳ねる鮭は見えるのに、川に登る気配がありません。
困ったのは鮭の増殖事業です。
鮭が登らなければ、必要な採卵ができません。
そこで当時の知内漁業組合長が雨石の故事に習い、雷公神社の宮司に神事を頼み、雨石を川に沈めたところ、その翌日から大雨がふり、無事鮭が川を上ったということがありました。
この話にはオチがあり、あまりにも雨が降ったため、川を上った鮭を獲るウライまでも流されてしまったそうです。
雨石はその威力が強いため、いまでは雷公神社の社殿の奥に安置されています。
レプリカが旧小学校近くに置かれておりみることができます。
そのほかにも、乳母杉の伝説や別名おっぱい祭りと呼ばれる男子禁制の神事十七夜講などがあります。
アクセス
北海道上磯郡知内町字元町232
まとめ
北海道新幹線が開通し、隣町木古内町に北の玄関口ができました。
その木古内駅から車で20分ほどの知内町。
北海道最古の神社雷公神社にも是非足を伸ばしてみてください。
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